メディアアートの系譜と記録
端山貢明さん(1932-2021)がコンピュータのメディアアーティストであったかと言うとそうだったとも言えるし、そうであったとも言えない。岡倉天心が日本画家でなかったことと状況は類似しています。どちらかと言うとコンピュータアートの文化伝道家という側面が強い。またその後に構築していったメディア論の創造性がまさしくアートと呼ぶにふさわしい業績です。とは言え自身がコンピュータも使った作曲もし、音響空間のデザインをしていたことはまさしく狭義のメディアートです。
それはさておき、メディアアートの系譜、特に特定メディアアーティストの業績記録・評価の実例を具体的に知るため何冊かの書籍を購入しました。中谷芙二子、CTG(幸村真佐男他)、山口勝弘。書籍が分厚いことが共通項。よくこれだけ調べ作品・業績を集成したものだと感心しました。それぞれのアーティストを支えたスタッフや研究者の存在がこれらのアウトプットの背景にあります。もう一つの端緒な共通項はこれらの書物に端山貢明について全く一言も触れられていない事実。端山さんとコラボしていた方々なだけにその点がある意味極めて特異です。個々の活動の実績可視化には積極的だけれども、包摂的視点はない。知識循環型社会における知の編纂のあり方が課題として見えてきます。端山さんの岡倉天心的側面、また現代におけるメディアアートの包摂的課題を物語っているとも言えます。「端山貢明アーカイブ」をどうこれからキュレーションしていくかの参考にします。
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投稿者 | ミッチー |
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